日曜に、客先の都合で仕事が入ってしまった。
施設を全停電にする必要のある作業なので日程をずらしてもらえない。致し方無し。
土曜は例の如く主夫の日。
日曜は仲間との予定をキャンセルで、
この週末も自分の時間は無し。
トホホに暮れてトホホに明けるものと諦めていた。
が、そんな私の様子を見かねてか、
木曜~金曜に掛けて妻が色々無理して都合を付けてくれた様で
「明日は自由にすればいいよ。(^^) どっか行ってきね。」 と言ってくれた。
感謝。
さて、1ヶ月振りの自転車か・・・とも思ったが、
折角なんで、紅葉の白山へ行きたい。
しかし、前夜も残業で、補給食を買いに行く暇すらまともに無い。
(コンビニでの買出しは高くつくからなぁ。)
体力低下も、明らかな準備不足も否めないが、
ひょっとしたら、既に見頃には遅いかもしれない位のタイミングだが、
これは間違い無く今季ラストチャンス。
行こう。
仕事から帰って、妻に山行の話をしていたら
『白山』のキーワードに見事に喰い付いてしまった長男が隣の部屋から飛んできて
「行く!行く!行く!」
えぇぇ~(--;)・・・早起きできるんかぁ・・・?
「行く!行く!行く!」
・・・(TT)
本当は、思いっ切りガッツリ系のコースが頭にあったのだけれど、
仕方ない。
まあ、長男がこれだけ山に喜んでくれるのも嬉しい事だし。断れない。
一緒に行くか♪(^^)
山専用のウェアなんて無い長男の服装に頭を悩ませながら、
随分準備に時間が掛かった。
超睡眠不足で、あっという間に出発時間。
寝ぼけ眼の長男を車へ放り込み、
ガソリンスタンドへ寄って、コンビニへ寄って、
朝食を頬張りながら暗い道を走る。
5:35 別当出合手前からノロノロ渋滞。

マイカー規制が明けて初めての週末、
今日は山ヤの統一行動日か・・・。
皆焦って手前の路側に突っ込もうとして、尚渋滞。
私は、一応奥まで進んでみて、下の駐車場へ降りる手前の坂に駐車。
車を降りると 「寒いっ!」
凛とした空気の中を、ヤル気満々の長男と一緒に歩く。
美しい朝焼け。

わくわくするね。^^
登山口でトイレへ行くが、ここでも渋滞。
こんなことなら、市ノ瀬で済ませてから来るべきだった。
さて、6:02 ようやく入山。

吊橋渡って、Go!

人の少ないタイミングでスタートしたが、
やっぱり今日は人が多い。
あっという間に詰まって渋滞気味になる。
追い抜いたり、譲ったり、止まったり、早足で前へ出たり・・・
マイペースで歩けないのは思いのほか疲れる。
人が途切れた時こそチャンスなのだけれど、
この変則歩きに疲れた長男は、道が空いたら思わず休んでしまう。

先々の行程の事を思うと止まらず急ぎたいが、
子供の体調・体力の事はよく分らない。無理は禁物。
超のんびりペースになってしまった。
6:37 中飯場

この季節になると、さすがに花は少ない。
既に霜が降りている。

標高が上がってきて、別当覗を過ぎる位から紅葉の雰囲気に変わってきた。

7:40 甚ノ助避難小屋で休憩。

朝日に照らされて、
小屋の西側から、
観光新道~黒ボコ岩の尾根を見上げる斜面は美しい秋山です。

8:20 甚ノ助の尾根を見下ろす分岐。

高度感が増すと共に、モザイクの美しさも素晴らしくて
テンションが上がってきます。

今日は、紅葉の景色を楽しむのが一番の目的なので
長男には少々無理を強いることになってしまいますが、
分岐を南竜道へと折れて、少しだけ長くキツイコースを目指します。

前を歩く息子も、初めて見るこんな景色に元気♪元気♪ですが、
どこまで頑張ってくれるのかな?
まあ、室堂まで行ってみて、様子を診て考えよう。
「おとうさぁ~ん!スゲェーぞー!!見てぇー!!!」
何じゃ?何じゃ?
おほぉ~、見事な霜柱。石が持ち上がってる。

霜柱自体をまともに見るのが初めてだという長男は大興奮。
確かにこりゃ凄いね。^^

手の平サイズ、結構重い石だよ。
どんなメカニズムで持ち上がるんだろう。不思議。調べなきゃ。
8:48 大好きな南竜ヶ馬場の風景。
何度来ても良い雰囲気の場所だ。

小屋脇で小休止しながら、トンビ岩への斜面を見上げると見事な紅葉。

胸が躍ります。
来て良かったぁー!
小屋脇から登り始めて暫くで、
こんな場所の足元の石組に・・・

なんだ? 貝類の化石かな?

登山道整備の際に別の場所から持ち込まれた石の可能性も高いですが、
火山として知られる白山であっても
噴出物による岩石で覆われているのは高い部分が主で、
白山麓一帯の周辺には化石を産出する地層が多いです。
ちなみに、最も最終(新しい時代)に火山活動で出来た山が剣ヶ峰。
古い時代に出来て表面のもろい部分の侵食が済んだ御前峰と比べて
山容の姿が全く違うのにも納得です。
さて、トンビ岩へと向けて進む道すがら、
何度振り返っても、見渡しても、
余りにも素晴らしい景色が続くので、撮っても撮っても撮り飽きない。
ボツにするのは忍びない写真が多過ぎます。

ナナカマドは既に最盛期を過ぎてしまっており
くすんだ色も多いですが、
様々な樹種や草類が織り成す紅葉が見事で素晴らしいです。

中には独りだけ流れに乗り遅れたナナカマドなどもあって、
次々と目を愉しませてくれます。

急登でグングン標高が上がるにつれて落葉樹を中心とした樹木は減り、
岩山の雰囲気が出始めます。

長男は、疲れや辛さを口にしながらも
まだまだ快調。 元気。
大きな岩を見つけると、取り敢えず乗っからずにはいられない(^^)

稜線が近付くと高山的な植生へと変化し

綿毛が飛んで消えてしまいそうなチングルマも、見事な紅葉。

この頃から、上空の風が強く感じられてきて、
岐阜県側からの上昇気流で創られる雲が
どんどん湧き上がって、どんどん流れて、拡散して消えてゆく。
長男も、そのダイナミックでスピーディーな動きに思わず見とれます。
「おとーさん、スゲーぞ。」

スカイラインに登り上げるまで、見事な色彩の芸術は断続的に続きます。

ガスで霞み始めた南竜方面を見下ろす風景も、
これはこれで素敵な雰囲気です。

う~ん。。。残念。^^ さすがにコノ岩は登れないね。

岩に鶏冠が生えてる。
よ~し、よく頑張った!
トンビ岩まで来たよ~♪ 9:55
当然、登るよね。^^
よっこいしょ・・・

わぁ~~~い♪

よし、おとんも登るから写真撮ってくれ。

こんな感じか?
斜面は終わって、台地に出て、
ここから先暫くは、なだらかでノンビリ歩ける道。
谷を挟んで対面のエコーラインの尾根斜面は、
潅木の赤に草紅葉。

歩く足元には
白玉と、コケモモの実かな。

トンビ岩への斜面でもそうだったが、
この一帯は小さなバッタが沢~山居る。

余りにも多くて、踏まれてしまっているのも二つ見た。
イイ感じに頂上が見えてきたけれど・・・

この頃から急に、風が強烈になってきて、
すさまじい寒風。
どんどん体温が奪われる。
さっきまでは優雅な秋の山だったけど、
一転、嘘みたいに厳しい条件になってしまった。
一気に長男の脚が鈍り、表情が無くなる。
「寒い」
「頭が痛い」
「手が冷たい」
弱音のオンパレード。 と言うより、実際本当に辛いのだろう。
何度も止まって、その都度重ね着。
手袋も何パターンか持ってきて本当に良かった。重ねてはめる。

結局長男、室堂へ到着する頃には、
インナー、長袖Tシャツ、薄手のフリース、ジャージ上着、綿入りの冬服。
「汗かいたらアカンのやぞ、暑くなるその前に脱ぐんやぞ。」
暑くないんか?と何度も聞くが、寒くて仕方がないと言う。
まあ、私でも不安になるような風で、辛かった。
秋の山は、好天なら良いけれど、荒れると途端に地獄だね。
念入りに色々持ってきて良かった。
易しいはずのなだらかな道に随分時間が掛かって、どうにか室堂到着。10:30

未だナナカマドの実が残っていてくれた♪ 嬉しい。
2年振りの、実の赤のある景色。

急いで室堂センターへ駆け込んで、暖を採る。

ガタガタ、ゴーゴーと、外の強風が感じられる。
う~ん、此処で引き返しかな・・・砂防から最短で下山しようか・・・。
色々考えながら、
お喋りしながら長男の様子を診る。
弱りきっているのかと思いきや、彼は・・・
体が温まるにつれてどんどん元気になって、
会話の端々から、途中リタイアの概念が無いことが窺われる。
『えっ!?(^^;)お前まだヤル気あるんか。』
弱音を吐きつつも諦めていない彼に少し驚いた。
でも・・・この天候じゃなぁ。。。小さな体の子供には危険かも・・・。
このままの風が続けば、最短下山だって辛いに違いない。
悩みながら時間が過ぎる。
フロントの奥の壁には、こんな張り紙。

20分程過ごした。
気付けば扉のガタガタが止んだ。吹き始めから1時間程経ったところ。
落ち着いた?
歩き出すチャンスか?
長男もその雰囲気を察して、一緒に腰を上げる。
外へ出てみると、
風は大して気にならないレベルにまで弱まった。
西の空をうかがっても、大きく天気が崩れそうな様子は無い。
長男の顔を振り返っても、
大丈夫そう。
よし、行くか。
ちゃんと御参りして、

再出発。 10:55

前回の白山では、完全にガスの中で景色が見れなかったが、
今日は、目指す頂がはっきり見えている。
リベンジしに行こうよ。^^
ハイマツ帯の中は、地衣類の緑が鮮やかで綺麗だった。

登山道脇には、何やら沢山転がっている。

ハイマツの松ぼっくりだね。

あれっ!
ふと気付くと、石川県側からガスが沸き始めた。
強風が止んだのは、風向きが変わる前兆だったのかな。

おい、急ごう。
って、長男を急かすけど、
やっぱ彼は空気が薄いのがダメみたい・・・(^^;)
前回同様、心臓が痛いと言い出して、ペースダウン。
トンビ岩への登りもボディーブローになってしまったか?
いいよ。ゆっくり行こう。

それでも、
真っ白な中で先の見えない闘いだった前回に比べて
今日はうんと気が楽。
程なく山頂。

やったー!!! 11:50

長男、デジカメ代わりの自分のDSで写真を撮りまくる。
「へんなトコ行って落ちるなよー!」
そんな彼を見ながらゆっくりし過ぎた。
さっきまで、人が居るのもはっきり見えていた剣ヶ峰が
みるみる内に隠れてしまった。 写真撮りそこなった。
でも、
そんなガスのお陰で、
出たっ!
ブロッケン♪

白山の神様ありがとう。
今日は本当に、
とっても内容の濃い山行。
おっ。(^^)
カメさん、こんなトコに居たんだね。逢いたかったよ。

彼も、なでなで・・・。

頂上には、最近降ったらしい初雪の痕跡があって、

そこかしこに、厳しい季節の到来が感じられる。

もうそろそろ、
あっという間に、
ここは、冬山装備じゃないと許されない季節だね。
今日は御岳も見えた。

充分、頂上からの景色を堪能して、

よし、帰ろう(^^)
下山も、
目を愉しませてくれる景色。

12:30 室堂センターへ戻って、休憩。
再び体を温める。
体が温まると・・・飲みたくなるけど・・・

帰りの時間から逆算して、
今飲んじまったら抜けないなぁ。 我慢。
12:43 山小屋を後にする。

よし、雪が降っても、また来よう!
冬もわくわくするよ!
弥陀ヶ原へと下り

気持ちの良い木道をてくてく。

その先は、直ぐに黒ボコ岩だ。
(笑)やっぱ、登っとかなきゃね。^^

十二曲がりの下方を見ると、枯れた斜面がガスの中だが・・・

今日のガスの動きは速い。
直ぐに晴れて、この贅沢な眺め。

曇ったり、晴れたり。
延命水は、今日も大賑わい。 13:17
大きな雪渓があった夏場よりも水量が減っている感じで、
汲むのにも時間が掛かるからかな、人が溜まってる。

長男、今日もペットボトルにお持ち帰り。

二人とも、しっかり飲んで、元気続行。
景色の良い道が続くし、
足取りは軽快だ。

南竜~トンビ岩に比べるとくすんだ色が多いが、
それでも十分素晴らしい、美しい紅葉。

元の甚ノ助小屋跡地前のナナカマドが見事だった。

長男が休まず歩き続けたいと言うので、
甚ノ助ヒュッテでの休憩はパス。
2,000m辺りから下の砂防新道は
樹林帯が多くて眺望の無い道が殆どだが、
雰囲気の良い秋の道も時々現れる。

数少ないビューポイントである
別当覗から眺める観光新道側の斜面、

中飯場辺りから見える対岸の斜面。

14:53 中飯場では、先を急ぎたがる長男をなだめて、
アメ玉を口に放り込むだけの休憩。
直ぐに出発。
この季節貴重な花。
標高が下の方では、大きなアザミがあります。

蜂がせっせと働いていました。

全身にたっぷりと花粉を付けて、巣へ持ち帰るのですね。
自然界ではそろそろ皆、冬支度。
行程残り僅かになってくると、
どんどん長男の元気が増して、私は置いていかれることすらありました。

5年生、10歳。体もクラスでは小さい方。
それなのに、
大人でも相当疲れ果てる今日のコースを、
よくぞ見事に完歩してくれた。
今日もまた、父の想像以上に君は強かった。
一緒に来てくれてありがとう。
その脚なら、
どんどん色んな所へ挑戦できそうだよ。
そろそろ、君用のザックを買わなきゃね。(^^)
15:20 吊橋渡ってゴール♪

今日もまた、
素晴らしい思い出の一日。
今日もまた、
めでたし、めでたし。
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