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2012年7月16日 (月)

別山~大汝峰~釈迦新道周回 (前編)

 

久々に、登山らしい登山。

本格派山ガールみっちゃんが持ち込んでくる企画は、

いつも挑戦的で、参加に手を挙げるにはちょいとした覚悟が要る。

ルートラボで大雑把に拾ってみたデータはこんな感じ

当然少数ではあるが実際にこれを行なった他の方の記録が存在し、

実際の歩行距離は30Kmを大きく超える。

普通ならば、少なくとも1泊、または2回に分けて別々の山行となるコースだが、

これを日帰りでやろうと言う話。

行動時間から逆算して、出発は深夜。

熊が多く生息するこのエリアで、長時間の夜間歩行を伴う。

大きな緊張と覚悟を持って臨みました。

 

 

前日の日曜日は午後から完全に予定を空白にして、

昼間の内に充分な睡眠をとれる様、家族にも協力してもらいましたが、

只ひたすら布団の上に何時間も横たわっていただけで、結局一睡も出来ず。

仕方無しに普通の夕食を採って、シャワーを浴びて、

手書きリストと照合しながら装備の最終確認をして車へ積み込み。

途中、コンビニへ寄って補給食を買い足してから、

ゆっくり、のんびり、出来るだけ緊張をほぐす様なつもりで、

好きな音楽を聴きながら集合場所へと向かいます。

 

 

三連休でしたが、天気予報が良かったのは最終日だけ。

皆この日を目指して集まってきた様で、

深夜の市ノ瀬は既に物凄い数の車でした。

近県からは、早朝の始発バス(市ノ瀬~別当出合シャトルバス)

に合わせてやってくる人が大多数だと思うので

明朝はかなりの混雑が予想されます。

 

 

市ノ瀬を AM 1:00 出発・登山開始の予定でしたが、

二人共早目に集合場所へ到着した為、

12:45 いざ、歩き始めます。

林道歩行から堰堤を渡って、

1:03 無人入山者カウンターを通過

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チブリ尾根へと向かう登山道にエントリーします。

ヘッデンを灯し、片手にもう一つのライトで前方奥や周囲を警戒しながら、

もう片方の手にはトレッキングポール。

鈴の音を大きく響かせながら、

常に迎撃体制を取る様な気持ちで、緊張の行程が続きます。

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目の前の灯りの狭い視界の中を、只ひたすら登り続けるだけ。

「1時間経ったよ。」

「2時になった。」

「今2時半。」

「4時半には明るくなってる?」

そんな会話を何度も繰り返します。

景色が見えない事がこれ程までに苦痛だなんて、

暗闇の心細さがこんなにも重く圧し掛かる様なストレスになるなんて、

そして、熊の恐怖。

一時も気が休まらず、

只々、時計の時間が進む事だけを願い続けます。

 

天候は予報と違ってかなり悪い。霧~小雨。風も強い。

前日までにも降った様子で、森は完全ウェットでした。

飽和水蒸気量満タン状態で、噴き出す汗が止まらない。

然程強い雨ではなかったけれど、

体に擦れる草木もベタベタで、全身ずぶ濡れになりました。

更にストレスが増します。

 

 

避難小屋手前1km程で一旦樹林帯が開ける。

風が強く吹き付ける状態で、

時折ガスで真っ白になる視界の中を進みます。

こんな強風の中でも、はっきりと感じられる、覚えのある匂い。

百合の香りです。

周囲を照らすと、笹百合、ニッコウキスゲ、ギボウシなど、

満開のお花畑でした。

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願わくば、明るい青空の下こんな場所を歩きたかったですが、

辛い辛い精神状態の中、

この花の香りは、とても大きな救いでした。

 

 

3:23 チブリ尾根避難小屋到着

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中には就寝者が居る様子だったので、中へは入らず

風下で一旦荷を降ろし休憩。

お互い辛さを労いながら、

相変わらず 「いつになったら明るくなり始めるかなぁ・・・。」

 

 

4時前辺りから、かすかに空が明るくなった様な気がし始めます。

気のせいか?

いや、やっぱり薄明が始まってるよね?

何度も何度も空を見上げながら・・・

4時半頃、

ようやく周囲が見える程度に明るくなってきました。

本当に嬉しい。

徐々に緊張が解けてきて、心が軽くなってゆくのを実感します。

 

 

4:45 御舎利山で小休止。最初の大ピークまであともう少しです。

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5:00 別山

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別山神社の直ぐ背後が頂上です。

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本当はここから御来光を拝むつもりでしたが、残念ながら真っ白。

 

風が強いので祠の石囲いの中に腰掛けて、

ようやく緊張から解き放たれ、明るい顔で朝食です。

オニギリを頬張りながら、

石垣の上からはコケモモの花が見えていました。

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来た道を一旦引き返し、

御舎利山手前の分岐から油坂方面へ折れ、南竜を目指します。5:22

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残雪が多く、雪渓を渡る場所が出始めます。

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雪といっても、氷化して硬く締まっているので、慎重に歩きます。

 

 

ニッコウキスゲやトラノオが咲き乱れる斜面をつづら折に下る道を過ぎ

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これより先は、登山地図にも危険箇所として記されるような大屏風。

向かって右側が大きく切れ落ちる様な崖が連続して現れる尾根道です。

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今回のコース中で、この一帯は1、2を競う高山植物・花の宝庫でした。

ガスで崖下が良く見えなかったのは、ある意味幸運だったのかもしれません。

道の険しさを気にせず、のんびりと花を楽しめました。 

『 シナノキンバイ 』

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『 キヌガサソウ 』 『 アオノツガザクラ 』 『 ハクサンコザクラ 』

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高山植物は、群落を作って咲いてくれるのが魅力です。コザクラが一杯。

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『 イワカガミ 』

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今日はどの花もしっとりと濡れていて、

華やかにピンと花弁を開いた姿が見られず、少し寂しいです。

 

 

『 ツガザクラ 』 なんかは、濡れていても姿に変わりはないですね。

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ガスの中にあると、これはこれでいかにも高山植物然として、良い雰囲気です。

 

 

この群落は、

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『 ハクサンイチゲ 』 (一華)

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この後同行することになる Takagi さん。お孫さんの名前がイチゲちゃんというそうで、この日も嬉しそうにハクサンイチゲの写真を撮っておられました。

 

 

次から次へと、思わずカメラを構えたくなる花達が現れて、

遅々として進みません。

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『 ヨツバシオガマ 』

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『 カラマツソウ 』

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『 ハクサンチドリ 』

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ハクサンフウロ・・・じゃないな、何か違う・・・か?

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何でしょう?あってる?

 

 

急峻の尾根道歩きが続きます。 6:15

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『ニッコウキスゲ』

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やがて道が穏やかになってきて、

天池 6:22

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この先も、

黄花が咲き乱れる谷など眺めながら

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尾根道が続きます。

 

 

やがて下り坂が増えてきて、油坂へと差し掛かります。

一瞬だけ、雲間から太陽の陽が向こうの笹原を照らして、

その輝きがとても美しかった。

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雪渓を幾つか越えて

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九十九折の急坂、油坂を下るその先に、

ガスの切れ間から、南竜方向が見え始めました。

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あそこへ向かう。

 

 

一旦、赤沢の谷まで下ってから登り返します。

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渡渉で沢を越え

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登り返せば、南竜ヶ馬場です。

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『 エンレイソウ 』

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台地へ出ると水捌けの悪い湿原が多くなって、足元が悪いです。

随分と登山靴が汚れました。

やがて木道が現れてほっとします。

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立派な、広大な高層湿原。

ハクサンコザクラが満開でした。

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7:30 南竜山荘到着

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あ~やれやれ。。。

やっと、ひと山終わり。

 

 

外のテーブルで荷を降ろし、

靴を脱いで靴下を絞りました。

 

 

さて、この先どうする?

相変わらずガスったままで天気は一向に好転しないし、

風も相当ある。

この後上手くいけば、YAMAさん・Obaさん・Takagiさん達と室堂で合流し、

大汝峰~釈迦新道へと周回する予定だが、

長い長い縦走~周回ルートを歩くには、二人共あまり気分が乗らない。

周回は止めて、とりあえず御前峰登って・・・剣ヶ峰を絡めて遊ぶ?

う~ん、真っ白けの中をわざわざ強風の登頂へ変更ってのもねぇ。。。

それともお花松原でも行く?

う~ん・・・。

 

 

山荘へ入って、スタッフに天候の事を聞くが、

やはり回復基調の予報には間違いないが、結局山の天気だから・・・

歯切れの悪い、申し訳なさそうな返事だった。

 

 

当初、計画ではトンビ岩コースから直登的に室堂を目指す予定だったが

登山道の情報はこんな感じ。

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エコーラインまで戻らなきゃ上へ行けない。

 

う~ん。。。

みっちゃんも、「もう、ここから帰ってもいいよ。(笑)」 って感じ。

 

 

静かな山小屋の窓から、ぼ~んやりと外を眺めながら・・・

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とりあえず

おやつ休憩にして、

思案。思案。

 

 

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