取立山~鉢伏山~大長山 往復
2012スノーシーズンの集大成とも言うべきメインイベントの山行。
全行程約16~7Kmの こんなコース を歩きました。
幾つものアップダウンをやっつけて、目指すは大長山のてっぺん。
辿り着くだけでも充分達成感ありそうですが、当然帰ってこなきゃならない。
こんなハードな挑戦系山行のパートナーとくれば、本格派山ガール みっちゃん です。
そもそも、こんな辛そうな企画を嬉しそうに持ち込んでくる人物は彼女くらい。
山スキーを使おうか悩むところですが、
身の程をわきまえて、安全策でツボ足を選びました。
AM 5:05
R157 東山の駐車帯から出発です。車は我々の他にもう一台。
かはたれ時。十六夜の月が森の向こうに沈んでゆくところ。
昨晩は少し天気が荒れて冷え込みました。山間部の平地でも雪がちらついた。
東山いこいの森で新雪が1~2cm程積もっています。
本来、春の雪山なら充分に締まった雪の上を楽に歩けるはず、
人気の山なら連日の入山者でトレースもしっかりついているはず、
今回のロングコースは当然それを見込んでの計画でしたが、
この場所での積雪では、山中でのラッセル有りを覚悟します。
「行動時間は充分とっているから焦らずボチボチ行きましょう」
つるつる滑る道をてくてく歩き、
5:53 上の駐車場。
この時期でも、入山届用の電話ボックスは未だ雪に埋もれています。
徐々に陽が射してゆく下界の眺めを楽しみながら標高を上げてゆきます。
先行者はスキーのトレースが1本。
思ったとおり新雪が多く、前日までのトレースは不明瞭~消滅。
ラッセル、ラッセルの行程となりました。
振り返ると、越前甲のカッコイイ容姿。イイ感じに朝日が当たっています。
未だ残雪が多く不明瞭な夏道から尾根への急登をやっつけてゆけば
雪屁のある場所へ出てテンションが上がってきます。
程なく取立山山頂です。 7:10 白山の素晴らしい眺めがお出迎え。
今日は風もほとんど無く快晴!素晴らしい山行日和。
小休止後、原高山方面へと下ります。
先行のスキーヤーも同じ方向を目指して進んでいます。
取立山からの下りは広大斜面、
青空をバックに最高の気分です。
疎林を抜け、
原高山の小ピークを越え、下り、その先へと続く稜線を進みます。
雪が深く疲労度が増してきたので、途中からはワカンを装着しています。
最終目標は大長ですが、まだまだ見えてはきません。
とりあえず目指すのは鉢伏山。
途中にもうひとつピークがあり、アップダウンのラッセルが続きます。
このピークを越えれば鉢伏山への取り付きが見えてきます。
『げ~・・・アレを越えなきゃなんないの・・・』 ややテンションが下がります。
一旦大きく下ってからの登り返しです。
美しい森を突き抜けて登ってゆくと、樹氷が迎えてくれました。
こんな景色に出遭えると、また気持ちが持ち返す。
振り返れば取立から歩いてきた稜線が見渡せます。
最後の急登をやっつけて、
台地的な山頂へと続く尾根に出ると、
右手側から見事な雪屁の尾根が繋がってきています。良い眺めです。
台地の上を、高い方へと歩けば
白山が、近くでっかく見えてきます。
そしてとうとう、大長の頭が見えてきて、
9:15 鉢伏山山頂
大長山の全容が見渡せます。
『 ターゲット!ロックオン! 』
「 さて、どこから攻める?」
中央付近には谷へと続くルンゼが大小数本。
上部は絶壁にも見えてくるような急斜面。
相談していると、左肩の方へと巻いて稜線を目指すスキーヤーが見えた。
やっぱそこだろうね・・・
でも、ここまでで結構身体的疲労が蓄積してきていて、
左へ大きく巻くルートは長く辛そうに見える。
できれば、中央の尾根から直登、最短で登り上げたい。
ここが今回の核心、クライマックスだ。
とりあえず、スキーヤーが左へとルートを変えた地点まで下り、
尾根上から斜面の様子を伺って判断しよう。
途中、石川県方向からスキーヤーのトレースが合流しており、
(こんな山奥、一体どこから来たの?)
先行者は2名となりました。2人とも左へ大きく巻くルートで登坂中。
さて、中央尾根からの取り付きまで上がってきた。
斜面上部はヌメヌメと光り輝いており、ガチガチアイスバーンなのが判る。
二箇所、大きな段差(割れ目?クレバス?)が確認できる。
でも、2本程 『 行ける 』 と確信できるルートが見出せた。
決めた。ここから上がろう。距離的には格段に近い。
ブナ林の向こうへ出て、最終確認をしよう。
林に入って暫くで、新雪とその下のアイスバーンの結合が全く無くなった。
ワカンでは滑りまくる。
ガチガチ雪面の上には10~5cm程度の新雪。
傾斜の強まりと共に、上部へ行く程新雪は減ってゆく。
頼りないワカンの爪で横這いするように木の根元の平らな場所へ身を寄せて、
アイゼンに装備変え。
ストックのカップは外した。
斜面上に出たら背中の装備を下ろすことなど不可能だから、
風に備えてここで上着を着る。
一歩、一歩、一つ一つの動作を確実に、慎重に。
アイスバーンは、急登であってもそれなりに安心感がある。怖くない。
が、新雪が乗っている場所は本当に怖い。危ない。
見た目で歩き易いルートを選ぶと、当然傾斜が緩い方、緩い方へと足が向く。
しかし、傾斜が緩ければ緩いほど新雪の量が多くなる。
10cm程下のアイスバーン。強く突き立てないと刺さらない程のストックの先が、
所々、手応え無しにすっぽりと斜面に飲み込まれる。
斜面上部では、新雪に隠されてクラックやクレバスが沢山あるのだ。
足を踏み出す前にしっかりとストックで探り、慎重にルートを選ぶ。
雪を落として裂け目の幅、方向を確認し、止むを得ず、2箇所程クレバスを跨いだ。
難所を過ぎれば、
上部は徐々になだらかに変化して、爽快な景色が広がった。
湧き上がってくる達成感と共に、
目に映る景色が美しくて、美しくて・・・ 素敵な心持ちになった。
振り返れば鉢伏山。あんなとこから登り返してきたんだ。
頂上部に出ても所々隠れクレバス。油断して片足を踏み抜く。
11:00 終に大長山登頂!
思わずハイタッチ。
小さく拳を振ってガッツポーズ。
嬉しくて、嬉しくて、
白山をバックに、思い切りはしゃいだ記念写真を撮った。
頂上からはぐるり360度の大展望。 (↓拡大します)
赤兎山方面
経ヶ岳、荒島岳方面
そして、でっかいでっかい、 大好きな白山
後発の方々も続々と上がってきて、少し賑やかになってきました。
みなさん、左肩へ巻くルートからのようです。
みっちゃんのお知り合いの山ヤ やっちん さん。
さて、戻ろうか。
その名の通り長く大きい山の山頂部。
何度か隠れクレバスに捉まりそうになりながら、
下山は皆さんと同じルートへと歩きます。
再び鉢伏へと登り返して、
感慨深く振り返る。
我等が付けた足跡が見える。
もっと暖かくなって雪が緩むと、あのルートは危険だね。
名残惜しいけど、大長に別れを告げて
再び、辛い辛いアップダウンの始まりだ。
鉢伏を越え
もと来た稜線へと下り、上る。
何度も足を止め、
美しい森と青空を振り返って。
下って、上って・・・
大長への登頂は10人に満たない程だったと思うが、
鉢伏までは結構多くの人が歩いた様で、
しっかり踏み固められたトレースが出来ていて、ワカンは要らなくなった。
とうとう、最後の登り返し、取立山の斜面が見えてきた。
人気の場所、物凄い足跡だ。
13:48 白山に別れを告げ、取立を後にします。
14:28 上の駐車場電話ボックス
15:10 駐車帯着 ゴール
最高の天気。素晴らしい景色。
今も目に焼きついている数々の絶景。
感想文だけでもかなりの量になりそうですが、とても書き表せません。
達成感に満ち満ちた、素晴らしい山行でした。
みっちゃん本当にありがとうございました。(写真も)
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コメント
真っ青な青空と真っ白けの白山!
良かったですね~素晴らしい\(^o^)/
たぶん気持ちの良い疲労感で今日は仕事もバッチリ!?
ロングコースですがさすが自転車屋さん?は体力ありますね~
前日に聞いていたので私も・・・なんて思ったりしましたが
先週同じようなコースに行ったので止めました。
で急遽、正反対の方向から白山を見ていましたよ
まだまだ雪山楽しめます、次はスキーで白山かな?
投稿: みれ | 2012年4月 9日 (月) 16時06分
ぎゃぁああああ!!!!!(;゚Д゚)!
ここんとこ タクヂさんに夢中で雪山忘れてました!
それにしても、ロングなルートさすがです。ボキなら途中でヘロヘロ必至です!!
fumiさんが頂上にいるころ、僕はジョギング中の女性のふともも眺めて興奮しておりました(;´Д`)ハァハァ・・・
昨日の収穫はヒロハノアマナだけでしたm(__)m
投稿: 百太郎 | 2012年4月 9日 (月) 20時15分
Fumiさん、おばんですぅ♪
お~とうとう大長山まで到達ですね(^^ゝ
いやはや半端な体力では達成できないです。
さすが~!
次は山スキーで行けるといいっすね。
往復でなくて、小原に下りましょう(笑)
投稿: YAMA | 2012年4月 9日 (月) 20時22分
おお~\(◎o◎)/
とうとう取立山から大長山へ登頂ですね。
おめでとうございます。
画像をみているだけで空気感が伝わってきましたよ。
来シーズンは赤兎山まで縦走して下さい(^_^)/~
投稿: ヤスジロウ | 2012年4月 9日 (月) 22時08分
みれさん、こんばんは。
私は自転車は売ってませんよ(爆)^^
充実感たっぷり
疲労もたっぷり
気持ちの良い疲労感なんてトンデモナイ(笑)酷いコトになってます。
そろそろみれさんが追いついてくるかな~?って、
何度も振り返って眺めては噂してたんですよ。
今日は何処へ行ったのかなぁって(^^)
向こう側にいらしたんですか。
そちらも当然、最高のお天気でしたよね♪
スキーで白山(><)今の私には100%無理ぃ~!
投稿: Fumi | 2012年4月 9日 (月) 22時47分
百太郎さん、こんばんは。
山忘れる程タクちゃんに夢中ですか(笑)
ホント、ロングルート。。。私も序盤からヘロヘロでしたよ。^^;
私が山頂に居る頃、そちらも絶景を堪能して・・・いや(笑)
アマナですか。^^
小さくても、派手でなくても、
可愛くて美しい、日本的な良さの里山の花ですね。^^
投稿: Fumi | 2012年4月 9日 (月) 22時52分
YAMAさん、こんばんは。
仕事仕事の毎日でしたが、素晴らしい御褒美を頂けました。
体は猛烈に疲れましたが、心の中の色々な疲れが吹っ飛びました♪
スキーで小原へ・・・って、そんなもん怖くて出来る訳無いです(^^;)
今シーズンのスキーは不甲斐無い結果になってしまいましたが、
来期に向けて、色々と(^^)お願いします。
早くご一緒出来る様に頑張ります♪
投稿: Fumi | 2012年4月 9日 (月) 22時57分
ヤスジロウさん、ありがとうございます。
福井の雪山Ⅱ。愛読書になっています(^^)
お陰さまで、色々夢は広がります♪
でも、赤兎までの縦走は・・・ えっ?日帰りでですか?
今回の自分の体の具合からして、今の私にそれは無理です(笑)
やればやるほど、
ヤスジロウさんが居るのは、私からは見上げる様な山ですね。^^
投稿: Fumi | 2012年4月 9日 (月) 23時03分
Fumiさんスゴイ!!!
綺麗な風景ありがとうございます
来年は僕も行ってみようかな・・・
投稿: MA310 | 2012年4月10日 (火) 00時10分
MA310さんこんにちは。
ありがとうございます。
MA310さんも雪山大好きさんですもんね♪
ホント、あの白い世界は綺麗ですよね。病み付きになります。^^
投稿: Fumi | 2012年4月10日 (火) 12時13分
ご自分で考えて行動されるところ、
そういうのが凄いなぁと思います
ただ一緒に行くというだけじゃなく・・
最近の私、ただの付いてく人です
楽を覚えちゃったな~(^_^;)
いつまでも思い出に残りそうな山行でしたね
なかなかハードでしたけどFumiさんとだから成し遂げられました(^^)
お忙しいとは思いますがまた遊んでくださいね
茶飲み友達もよろしく~(笑
投稿: みっちゃん | 2012年4月10日 (火) 14時45分
みっちゃん、こんばんは。
なんせB型なんで(笑)
先行のトレースがあっても、それにはとらわれない・・・というか(^^;)
自分の納得ゆくやり方がしたくなってしまうというか・・・
なんせB型なんで(TT)
でも、楽は大好きですョ。^^
本当にハードでしたが
早くも今年の山行ベスト3入りは当確です(笑)
素晴らしい思い出を有難うございました。
20年先でも思い出せそうな(笑)そんな1日となりました。
こちらこそ、またお願いします。^^
投稿: Fumi | 2012年4月10日 (火) 22時20分
また・また・また・また ギャ~~~~~
素晴しい景色じゃないですか~~
こんな綺麗な景色のなかで、1日自然を満喫するってステキ&羨ましいです!
身体の疲れは大丈夫ですか?
お疲れさまでした~
投稿: taizo | 2012年4月10日 (火) 22時36分
ギャアアアアア!!!!!!!(TT)
「もう雪山はいいかな・・・アイゼンとか、アイゼンとか、アイゼンとか、ピッケルとかスコップとか持ってないし・・・」と思って、雪山モードからは完全に頭を切り離しておりましたが、こうしてFumiさんのブログで素晴らしい写真を見ると、ぐはぁ・・・になりました(TT)
標高1000m超える山では、まだまだ遊べそうな感じですね(^^)
(って、僕の装備では絶対に無理ですが・・・)
取立山までは景色で「ここらへんかな」と分かりますが、それから先は全くわかりません(^^;;
しかし、本当に素晴らしい景色が、まだまだ続いていたんですね!!
羨ましくて、思わず嫉妬交じりのコメントです!!!(TT)
投稿: タクヂ@Fumiさんのせいでこんな時間(TT) | 2012年4月10日 (火) 23時18分
taizoさん、こんばんは。
ホント、雪山の美しさ・自然は格別です。
かなり中毒性のある麻薬ですよ(笑)
辛い行程で疲労しきっても、
また・また・また(笑)何度でも行きたくなっちゃうんです。
体の疲れは・・・
顔が日焼けで酷い事になってます(笑)
投稿: Fumi | 2012年4月10日 (火) 23時35分
タクヂさん、こんばんはぁ
本家ギャアアアアア!!!!!!!が聞けて本望です(TT)
今のタクちゃんの装備で鉢伏山まで問題無く行けますよ♪
まだまだ山には雪がた~っぷりあります。
まだまだ、雪山スイッチ切っちゃうのは早過ぎますよ(^^)
何なら伊吹山にもスノーシュー持参で・・・(^^;
私もタクヂさんに嫉妬する事が幾つもあるのですが、
それはまた別の機会に・・・(笑)
投稿: Fumi@もう寝ようと思ったのに、ぐはぁ | 2012年4月10日 (火) 23時53分
Fumiさんこんにちは(^-^*)/
超長距離の山行すごいですね(+_+)オマケにラッセルまであったとわ
さぞかしお疲れの事でしょうね
それでも雪山の素晴らしさは格別ですね筋肉痛も心地いいですね
ぼくも先週は南丈競で小屋泊まり、昨日は加賀甲〜大日山行って来て現在心地いい筋肉痛です
今回のFumiさんのルートも挑戦してみたいと思ってます(^O^)/
ヨロシクお願いします
投稿: カモシカーン | 2012年4月11日 (水) 11時14分
カモシカーンさん、こんにちは。
私はとってもお疲れです(笑)
精力的に登っておられますね。^^
大日へは勝山側から行かれたのでしょうか。あの山も遠いですね(笑)
徐々に雪も締まってきて、春の雪山シーズン全開ですね。
小屋泊まりもいいなぁ~(^o^)
美しい景色を思い出しながら、達成感のある疲労。。。幸せですよねぇ。
挑戦って素晴らしいですね。
是非、機会があれば大長も楽しんできてください。(^^)
投稿: Fumi | 2012年4月11日 (水) 12時31分
うわースゲー!!
好い天気で最高だったでしょうね~~~!!!
ボクはと云えば・・・その日は仕事でした・・・火災出動して鎮火後青空を羨ましく見上げていました。
ボクもこの加越国境を歩くの大好きです。以前、大長山からそのまま滝波川源流を滑降して小原集落まで滑りました。
大長から見る白山はとてもきれいですね~。
綺麗な写真を見せて頂きました。ありがとうございました!!
投稿: ゲンゴロウ | 2012年4月13日 (金) 20時23分
ゲンゴロウさん、こんばんはぁ
あの日はお仕事だったのですね。お疲れ様でした。
ありがとうございます。尊いお仕事です。
さすが♪
やっぱり(笑)ゲンゴロウさんはスキーで小原へ周回ですね(^^)
私もいつかはそれを目指して、来期以降も練習と挑戦を続けていきたいです。
まだまだ未熟者の私、好天に恵まれた今回はお蔭様で素晴らしい山行となりましたが
視界不良や悪天に見舞われても動じない、
乗り越えられるだけの実力を目指さねばと思っています(^^;)
投稿: Fumi | 2012年4月14日 (土) 00時05分