ようやく、3月に入って最初の休みです。
今日はお嫁ちゃんの誕生日なので家族の日にするつもりでしたが、
昨晩、『明日どうやって過ごしたい?』 と聞くと
「私はいいよ。そんなことよりちゃんと自分の時間をつくって、遊んできね。」 と言う。
でも、ず~っと父親不在だし、せっかくの誕生日位・・・と断るのだが、
『行って来い』 と強く背中を押してくれた。
ありがとう。
言葉に甘える。
でも、半日以内の遊びにして、あと半分は家族揃って過ごそう。
慌てて支度をし、床に入る。
3時に目覚ましが鳴る。
あっという間。
あれ?寝た?のか?
ネットで天気図を確認すると、本州のすぐ南に低気圧があって・・・
天気の大きな崩れはなさそうだが、風が強そう。山には不向きな日かなぁ。
悩みに悩んだが、今日を逃すと次はいつになるか分からないので、行く。
朝曇り~昼にかけて晴れてくる予報だ。
早目の回復を期待して出発。
福井の今日の日の出は 6:13 その時刻に大日峠~甲への尾根に居たい。
あの稜線から振り返った山々、白山が朝焼けに浮かび上がる姿を見てみたい。
真っ暗闇の中、ヘッデン灯して、一応ビーコンの電源入れて、入山。
久々の山。
やや不安、ちょっぴり恐怖、とっても大きなワクワク♪
昨年歩いた時の記憶も、地形図も、まだ明瞭に頭の中にある。
勿論地図とコンパス持参。
序盤は基本的に林道に沿ってだから、暗くても迷わないだろう。
昨日のものと思われるスキーのトレースが1本。
不明瞭で数日前のものと思われるワカンの跡が時々見られる。
堰堤手前で、左岸側の斜面へ向かうワカンの跡があった。
そういえば、以前にあちら側のルートで登った方の記録を読んだことがある。
どんな感じだろう?ふと欲が出て、つられてしまった。
これが大失敗。
急登で堰堤を巻いて上へ出ると、決してなだらかではない地形。
ダム~谷は延々斜面をトラバースする様なイメージ、
分かり易いルートが無くて、嫌な箇所を避けるとアップダウンが多い。
なかなか歩き易い場所が現れない。
急斜面や谷沿いには雪の裂け目が時々口を開けている。
ワカンの先行者も大きな裂け目につかまって難儀した跡があった。
どちらかへ巻いてルートを変えたくても、そこしか無いなぁ・・・って場所で、
私も同様に苦労した。
今日は、フリーベンチャー(短い板)で大日峠までを登り、
その先は雪の状態を見てアイゼン・ピッケルにするか判断。
板があるから要らないかとも思ったが、念の為ワカンも。
念には念を入れ他にも色々と、
今日の装備はいつにも増して重い。
そして、気温があまり低くない今の時期のこの雪質。
見た目締まっている様に見えて、実は結合力の弱いモサモサの粗目。
新雪の国見岳ではあんなに綺麗に刻めたジグが、今日は全くだめ。
急斜面では、ズルズルと崩れるだけで中々エッジが止まらない。
トラバース気味の場所は、上へ上へと意識してもズルズルと下へ滑る。
短い板に加え、私の技量不足が主原因なのは明らかだが、
こんな雪質の急斜面は、絶対ワカンに軍配だろう。
何度も悩みながら無理して強行したが・・・
あまりにもペースが遅いので、良い場所に出た処で一旦ワカンにチェンジ。
次々と地形が変わる度に装備を替えるのでは時間が掛かり過ぎる。
やはり経験を積んで、スキーの技量・ルートファインディング能力を磨く他無い。
薄明が始まっている。
ヘッデンを消すと、周囲の地形が良く見えてきた。
で、ふと気付く。いや、頭の中では分かっていたんだケド・・・
このまま谷の東側を進んで行ってしまったら、大日峠へ行けない。
なんでコッチへ来たんだ?俺。
どっかで谷の反対へ渡らなきゃならんのだが、谷底には当然水流。
所々スノーブリッジはあるが、そんなもんとてもじゃないが渡れない。
どうするかなぁ・・・と、渡れる場所を探り探り進む。
徐々に谷が細く狭まって、幾つかの支流の様になって、雪で埋まり始めた。
更にしばらく進んで、そろそろ大丈夫かな?
表面上は完全に雪で塞がれているが、なんせ今日の雪は柔らかい
踏み抜いて水流に落ちやしないかとドキドキで谷底へ向かう。
浮力のあるスキーで一気に通過するべきだろうが、
谷の向こうには直ぐに急斜面が控えている。装備替えは面倒だ。
こうした行動が事故の元と分かっているのに、ついワカンのまま行ってしまった。
そおっと一気に渡って、そして反対側の急斜面を登り返し。
全く・・・馬鹿なことをしたもんだ。 無駄な労力だなぁ
林道がある部分まで這い上がると、スキーのトレースがあって安堵する。
やれやれ。
すっかり明るくなった。
見覚えのある地形。ようやく余裕をもって楽しめる。

ここでやっとスキーに戻す。
素直に林道を来るべきだったね。
元の予定通り、大日峠の鞍部へ向かう谷へと、林道から離れる。
先行のトレースはそのまま林道を進んでいた。
『おっ!ウサギ!』 真っ白な体に、耳の先だけが黒い。
10m程先を横切って、あっという間に駆けていって見えなくなった。
上へ行くほど天気が悪い。

稜線方向はガスって見えない。
でも、もう近いハズ。
無駄なコースを進んだお蔭で尾根にあがる手前で日の出の時刻を過ぎてしまった。
でも、こんな天気だから諦めがつく。朝焼けなんて全く無かった。
稜線が見えてくると雪が硬くなってきて、風が強まってきた。
稜線直下はアイスバーン。強風。
コケて滑ったら、やっぱ中々止まらんのかなぁ・・・慎重に。
時々恐怖心が湧いて、アイゼンに替えたいんだけど、
身を隠すものが何も無いこの斜面での作業は辛い。
慎重に、慎重に、急ぎたいが、慎重に進む。
ようやく鞍部に到着。
風を避けるため斜面てっぺんの雪の割れ目に入って一息つく。

とんでもない強風。
まあ、予報通りだ。でも、想像以上。
スキーを外してアイゼンに替える・・・
いつの間にやら足回りやスキー道具についた雪がガチガチに凍っていて、
中々はかどらない。
アイゼンのストラップは登山靴に合わせてあるのをそのまま持ってきてしまった!
このままでは兼用靴の今日は短めになってしまい上手く装着できない。
ストラップを長く調整しようにも・・・
あーっ!イライラする! とうとうグローブを脱いでしまって作業。
どんどん手がかじかんで、感覚が怪しくなってゆく。
イライラと、焦りまくって、
準備不足の自分が悪いのだが、イライラ、イライラ・・・
どうにかこうにかアイゼンを着けて・・・
ん? 何か懐かしいような味がする。
鼻水がたっぷり垂れて口の中にまで入ってきているのに、
鼻も唇も全く感覚が無くて分からない!
グローブで鼻をぬぐって、手にはめて・・・
さて、どうしよう。
強風に加えて、徐々にガスが濃くなってきている。
でも、地形的には迷わない自信はある。
一応頑張ってみるか。
スキーなど余計な装備はココへ置いて行こう・・・。
覚悟を決めて尾根の上へ出たが、
とんでもない爆風! こりゃアカン!
一瞬にして撤退を決定。
体を斜めにして立っている感じ。油断していると時々持っていかれそうになる。

しゃあないわ。自然には勝てん。
きっと、山に叱られてるんだ。
連日の残業で疲労しきっている、体力も落ちきっているのに、
ろくに寝ないでやってきて。
おまけに横着な行動もあったし。
『これ以上は止めとけ』 ってことなんだろう。
こんな調子で突っ込んじゃダメ。
反省点が多すぎる。
今日の自分は、ここまでしか許されなかったんだ。
気持ちを切り替えて、
まだ随分と時間に余裕があるから
北側斜面のブナ林を散策しよう♪


寒いけど、こんな天気のお陰で霧氷がとっても美しい。
3月も半ばになろうと言うのに、近場で霧氷が見られて幸せだなぁ。

写真では伝わらないけど、遠くで雷が鳴り続けている様な音が轟々と止まず、
静かな雪の森のイメージとは全く違う。
ゆれる枝から霧氷の破片が降ってきて、顔にバチバチと当たる。

でも、凄く美しい。
こんな天気でも、やっぱブナの森には癒されるなぁ。。。
まるで並木道の様な支尾根。

この先へず~っと歩いて行きたくなる。
暫く散歩を楽しんだら、
しゃあない、帰ろう。
雪の割れ目に戻って、装備を整えて、シールを剥がしたスキーを履いて。
さあ・・・。なんだ・・か・・下界の視界が無いなぁ・・・。

ヘンナ所へ落ちちゃうのだけは嫌なので、慎重に。
気持ち良さそうな斜面があっても絶対に安易に降りてしまわずに、
ルートが無くなってにっちもさっちもいかなく・・・なんてならないように、
慎重に。
今日登って来たトレースと、昨年の記憶を総動員してコース取り。
始めはガリガリ君。
その内モナカ。突き刺さってコケ2回。

下の方はガスが晴れて、
次はもっさもさの雪。それでも2回ほどコケた。

どんだけスキー下手糞なんや。
またゲレンデ行かなきゃ・・・。
やはり下りはあっけない。
途中、林道脇に沢山のスキー跡が降りてきている大きな斜面があった。
ナルホド、こっちへ降りてくるルートがあるんだね。ここは気持ち良さそう♪
それともこの斜面の為だけにココを登るのかな?
また今度研究だ。YAMAさんにでも聞こう。
単独ワカンの男性と出遭う。
「上は凄い風ですよ~(ToT)」 しばし談笑。
赤系のいでたちがカッコイイ方だった。
駐車位置へ戻ると車が二台増えていた。
みんな、まだ今から山に入る時間だね。
街まで出ると、
下界は陽射したっぷりのポカポカお天気でした。
帰り道、
時々山の記事も出てくるのでいつもブログを拝見している勝山のお花屋さんへ寄って
花束を創って頂いた。

ささやかですが、今年も妻へのお誕生日プレゼントは例年通りとなりました。
帰宅したら丁度子供達が起きてきたところ、今から朝食って・・・
今日の反省をしっかりとして、
次は天気の良い日をバッチリ選んで、越前甲~加賀大日まで行きたい!!!
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