自転車で山を走るということ
MTBで山道を走るのは楽しい。
素晴らしい景色、美しい森に草花、鳥や蝶、
スポーツとしての爽快感、
自分自身の技量を磨く事によって、難易度の高い場所をクリア出来た時の満足感、
体力的限界への挑戦、
勿論、頂に立つということの達成感もあります。
その魅力の奥深さは計り知れません。
しかし、
その愉しみを得ようとするからには、決して避けてはならない大きな問題があります。
我々は、他方面からは、歓迎されない存在である可能性が大きいということ。
非常にナーバスな問題で、感情的要素も多い。
既に今まで、自由に山道を走る事を楽しんできた方々からすれば、
敢えて触れて欲しくない部分であるでしょうし、
『火に油を注ぐ様な事に成りかねないから、そんな問題提起するな!』
そう思う方も多いでしょう。
しかし、ネットを通して人目に触れる立場としてこの遊びをする以上、
避けずに、真面目に考えてみたいと思います。
登山を趣味とする方にとって、
山中のトレイルを走る自転車は、街中で歩道を爆走する自転車と同様か、
それ以上に危険を感じる存在かもしれません。
また、草花を愛する者にとっては、
明らかに歩行よりも大きいと想像される、自然に対するダメージが心配でしょう。
そして、理屈・理論はさておき、何よりも感情的に邪魔!うっとうしい!目障り!
静かなはずの山中に突然現れる場違いな存在に、
そう感じる登山者は少なくないはずです。
趣味としての世界だけで考えていてもいけません、
山という場所には、必ず所有者・管理者が存在し、
地元民にとって大きな意味ある場所であったり、信仰の対象であったり、
林業をはじめとする、生活の糧としての大切な財産であったりするのです。
意識・無意識の別なく、暗黙の内に
他人の敷地であったり、公然の場を借りることによって遊んでいるのです。
また、所有者・管理者側も、それを黙認してくれている、
そういった側面があることを忘れてはいけないでしょう。
こうした、MTBが山道へ進入することが生み出す問題、
多くはハイカーとのいざこざが中心ですが、こうした問題は全国で多発し、
事が大きくなれば、その結果は、
『MTB禁止!』 の立て看板へとつながるのです。
山中でハイカーと出逢った場合、基本は登山の時のマナーと一緒で、
こちらが挨拶をすれば返して貰えますし、当然、道を譲り合うことになります。
『自転車でこんなトコまで!』 との驚きの反応と共に会話が弾むことも多いでしょう。
山を愛する者同士、概ね好意的な反応が多いはずです。
それなのに問題が発生するのは、
やはり、MTB側のマナーの悪さや、配慮不足、事故によるものでしょう。
たとえそれが一部の者による行為であったとしても、
一旦事が起きてしまえば、全体の規制へと繋がることは仕方の無いことです。
行政が介入するレベルの話となれば、『禁止』 となることへの裏付はちゃんとあり、
自転車側に反論の余地はありません。
以下は、同様の問題について書かれた様々なサイトを参考にしたものですが、
どこも概ね結論は同じです。
●『国立公園・国定公園・県自然公園等は、
自然公園法で自転車の乗り入れが規制されている』
これは、「車馬の乗り入れは管理者の許可が必要」との条文に
自転車が当てはまるためです。
車馬(車と馬)との表現が、法規成立が明らかに今とは違う時代背景であることを
あらわしていますし、維持管理目的の車両を念頭に置いた条項ですので、
自然意識が高い今の時代であれば、
もう少し変わった内容の条文になる可能性もあるでしょう。
●『自然歩道等の「歩道」は、道路交通法としての歩道であり、
自転車は許可無くして走ることはできない』
山中のトレイルであっても、公道であるということです。
●登山道・ハイキングコースも、
「歩道」として整備されていれば上記と同様の法解釈になります。
以上2点については、街中の歩道を走る自転車と問題が似ています。
●林道は、いわゆる公道とは異なり、本来、原則として通行許可が必要。
なのだそうですが、現状としては、
一部を除き、レジャー目的の使用や、一般車の通行も規制はされていない。
つまり、理論に則った観点からすれば、
登山道は勿論、林道であっても、本来自転車は許されてはいないのだけれど、
管理者・所有者、同時にそこを利用する歩行者の好意により
『まあ、別にいいんじゃない。』 的に許していただいている、
寛容に受け入れていただいている。
というもの。
または、現状に則した観点からすれば、
明確な基準の存在しないグレーゾーンとしての位置づけが大きいため、
多くの部分が、当事者(自転車側)のモラルに委ねられている。
ということ。
そんな存在がMTBライダーであるという意識が大切でしょう。
・ 何よりも、周囲への遠慮と、謙虚な姿勢。
・ 自然というものに対する配慮。
・ 不意の出会い頭等、
どの様な状況でも安全に停車できる、技量に合った走行を心掛けること。
・ ハイカーに遭ったら下車し、率先して道を譲ることを心掛けること。
・ 自身の意に反したものであっても、そこにある構造物を傷付けないこと。
例:木製の階段等は下りであっても乗車しないなどの配慮。
他にも色々あるでしょうが、基本的には、遠慮・謙虚な姿勢が大切だと思います。
そして、この様な現状を考えた上で、
それでも尚、私はこの遊びが好きであり、続けていきたいと思っています。
私は、登山も大好き。
山も、木も、花も、鳥も、蝶も、自然は全て大好きだ。
低山で出逢う魅力も、高山で出逢う魅力も、春も夏も秋も冬も、
基本は皆一緒だ。
自然はいい。
それを愛する人も、また。
歩いて登るのも、自転車担いで登るのも、
歩いて下りるのも、自転車で下りるのも、
それぞれに魅力があって、違った感覚で景色を、空気を、風を楽しめて、
それぞれに・・・。
だから、
ハイカーとライダーは敵じゃないと思う。
敵であって欲しくない。
どちらも、同じく、自然に親しむ手段。
または、それぞれに、スポーツとしての分野であって欲しい。
そんな気持ち、思いを忘れずに、
末永く遊び続けたい。
遊べる環境を残してゆきたい。
そう思って、願っています。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
どんなスポーツでも趣味でも、


それを行う人口が増えると、
残念ですがその中に、社会的秩序の欠落した人も入り込んでくるのも現実デスネ・・・
百羽一絡げで「MTBにのるヤツは悪いやつら」と、
されてしまうのは心外です
かつてのゲレンデで、「スノーボーダーはみんなマナーが悪い!」って言われていたのとなんだか似てますネ・・・
マナーを守り自然を愛した行動を取り続けていくことがイチバンなんですよネ
投稿: フレディ・M | 2011年5月 3日 (火) 19時30分
フレディ・Mさん、見事な例えです。m(__)m
様々な新文化は、その黎明期においては、
成熟するまでの間に、様々な問題が起きますね、
そしてそれは、市民権を得るまでの試練であり、
己を律する為の、
必要なプロセスなのだと思います。
かつて、ロックンロール=不良 (爆)な時代があったように。^^
投稿: Fumi | 2011年5月 3日 (火) 22時52分
これも腫れ物に触れるような話題ですが、自転車乗りとしては避けて通れない事なのでしょうか(^^;)
なんだかんだ言ったところ、弱者(登山者)強者(MTB)って立場は入れ替わることがあり得ないので、何かトラブルや事故が起これば叩かれたり責任をとらされるのは100%・強者ですよね。
一番は山で合った人、ブログを見た人の感じ方次第なのでしょうがね( ̄Д ̄;;
投稿: kotapapa | 2011年5月 5日 (木) 06時45分
kotapapaさん、おはようございます。
仰る通り、何かが起きた場合の責任問題に関しては、
交通事故と全く同じだと思います。
そして更に、環境問題(?)や権利に関する話が加わるのですが、
この辺も、kotapapaさんが言う通り、
『感じ方』による要素が大きいですね。やや感情が入ってしまう。
違う感じ方、考え方の方も居るのだということを
心の片隅で意識するのが大切なのでしょうね。
投稿: Fumi | 2011年5月 5日 (木) 06時59分
Fumiさん、おばんですぅ♪
お~かなり気合いが入ってますね(^^)
う~ん、MTBで山道を走ることが好きなので、
私も気をつかなければいけませんね。
どうしても自然に対してダメージが
大きいのは事実なんだよねえ...
投稿: YAMA | 2011年5月 5日 (木) 19時58分
YAMAさん、こんばんは。
これはある意味タブーだったのでしょうが、
自分自身も避けてはいけない気がして・・・。
でも、物議をかもしちゃう話なんですよね。^^;
本人がこんなこと言うのも何ですが、
果たして、書いて良かったのかどうか・・・。
書いちゃった事に対しても、
色々と考えたり、反省したりしています。
末永く、この遊びが出来ますように。
自分なりに努力もしてゆきたいです。
投稿: Fumi | 2011年5月 5日 (木) 21時04分