火曜日
豪雪から一転、翌日以降の天気予報が久っさびさの晴れマーク。
それも1日だけではなく、2日間以上にわたっての好天。
居ても立ってもいられず、
「急で申し訳ないのですが・・・」 と職場に休暇申請。
夕方以降も少し残業をして、なんとか休みを認めてもらいました。
夜、YAMAさんに電話して相談。
取立山に登ろうと思うのだけれど、
雪山初めての私が、この豪雪直後の状態で行っても大丈夫なのか?
一応、YAMAさんは許可を下さいましたが、やはり心配そうなのが伝ってきます。
装備やら、出発時間やら、コースのことやら、色々とアドバイスを戴きました。
今朝、4時過ぎに目が覚めてしまい、興奮して二度寝が出来ない。
5時半に布団を出て朝食。
通勤ラッシュの街を抜けて、東山いこいの森近くの駐車帯へ。
一台、先客が居ました。
『よかった~』 一気にプレッシャーから開放されます。
昨晩念入りに地形図とにらめっこして、読み方の練習はしてきましたが、
やはり自分でルートを決めるのは不安。
(8:57)
さて、ここから入山です。

やわらかな新雪の上に、先行者の足跡はスノーシュー。
辿って踏みますが、ワカンの私。
20~30cm程の深さの、スノーシューの踏み跡に足を置くと、
そこから更に20cm程沈みます。
試しに新雪の中へ歩み出てみると、膝上まで簡単に沈む。
なるほど大変な体力が要る。こりゃぁ先が思いやられます。
いこいの森キャンプ場の建物はこんな感じ。

地上3m位のところを歩いている感じでしょうか。
黙々と歩きます。
途中、歩みを止めると、一気に信じられないような静寂。今日は風が無い。

上の駐車場手前で、先行者が見えてきました。

やがて追いつき、見晴らしの良い場所で休憩。
金沢から来られたという 『 Sさん 』

ここまで楽をさせて頂いたお礼を言い、
この先のコースやアドバイスをもらって、ここからは私が先行してのラッセルです。
森の中は、動物達のスクランブル交差点。

生き物の足跡が無い場所が無いくらいです。
駐車場から上は夏道の登山道が在り、尾根へ向かってつづら折りのはずですが、
ここが道かな?と思えるのは、ほんの極一部。
Sさんいわく、今日の雪はやはり特別酷いから、
私が来なければ引き返そうと思っていたそうです。
何度も斜面上を見上げ、林の中、出来るだけ最短を選びながら、
ここからは傾斜も強くなってきて、ルート取りに苦心します。
傾斜が強いと、トラバース気味に・・・と思っても、足場がずるずると下がる。
直登の方が安全そうな事もあって、ついついキツイ登りに。
ストック2本を斜面に手首まで突き刺して、体を持ち上げようと思うけど、
足場が固まらない。崩れるだけ。
一向に進まない。必死のラッセル。
木の枝を掴もうと株へ寄っていくと、
枝下や株周りには雪洞が隠れていることがあって、はまって更に難儀したりする。
ここが今日一番の難所でした。
最短で尾根を目指し過ぎて、明らかにルートミスなのでしょう。
どんどん切り立ってくる斜面にへばりつくように格闘していると、
頭上をヘリが通過していきました。青い。
福井県警のかな?と思いながら、もがきを続けていると、引き返してきて、
私の後方で、少し様子を伺って去っていきました。
どうにかこうにか、緩斜面まで這い上がって休憩していると、
私の跡をトレースして、女性が上がってきました。
勝山からこられた 『 Oさん 』

この方もスノーシューです。
3人になりました。心強い。
ここから暫くは、3人で交代交代のラッセルです。
それにしてもOさん、凄い健脚。力強い登り。

ウサギの足跡が山頂方向へと案内してくれています。
振り返ると、ご趣味の写真を撮ったりしておられたSさんが追ってきます。

最後の急登をやっつけて、

ようやく尾根道へ出ました。
先頭を担当すると、こんなに気持ちの良い場所へ踏み出す事ができます。

でも、疲れます。 急登ラッセルで消耗してしまいヘロヘロの私はすぐ交代。
ごめんなさいOさん。後半はほとんど甘えてしまいました。
疲労感も、Oさんとのおしゃべりで随分と紛れ、
おかげで、ほぼ休憩無しで歩き続けられました。
よし! 頂上が見えてきた!

尾根には雪庇の美しい造形。

尾根上部は、所々小さな亀裂も入っていましたが、然程危険は感じません。
結局ここまで来ても、今朝の冷え込みから期待したほどには雪が硬くなく、
というより柔らかく、最後までふかふかラッセルから開放される事はありませんでした。
終に来た!頂上! (13:13)
その向こうには当然 『 白山 』

素晴らしい眺めでした。
感激です。
これが見たくて頑張ってきたんです。
手前の樹林帯が、着雪か樹氷かよくわかりませんが、不思議な芸術作品でした。
神様ありがとう。
Oさん 「やったー!」

Fumiさん ヘロヘロ~。
Oさんは、時間的に心配な事があるそうで、すぐに下山開始。

あっという間に見えなくなりました。
私も、時間的な事が全く読めないので不安で、後をついて行こうかと悩みましたが、
やっぱ、折角なので、
暫く山頂独り占めで寛ぎます。

カップラーメンを・・・と思いましたが、

何だか気持ちで満腹で・・・やめた。
そんな事より、この景色、空気をいっぱい楽しみたくて、心に焼き付けたくて、
何もせずにその場に身を任せて過ごしました。
仕方ない。帰ろう。
振り返ると、自分達が付けてきた道。感慨深いものがあります。

無我夢中で登ってきたので、あまり周りが見えていませんでした。
あんな尾根をず~っと来たんだなぁ。

暫く歩くと、
おっ!別の人が上がってきた。

お~。いい笑顔!ナイスガイや~。


加賀からこられたという美男美女カップル。
なんとこのお二人も今日が雪山デビューだそうです。
「ワカンの練習してから来たんですぅ。^^」
わははーボクも一緒♪
こんな場所で人に遭えると、凄く嬉しい。
今日この山に登ってきたのは、(私も含めて)以上5人でした。
写真を撮りながら寛いでいたSさんにお礼を述べ、再会祈念。

片付けながら、「ワシも今から頂上まで行ってくるわぁ」 と、Sさん。
尾根道から駆け下りて、所々オシリで滑って、再び林の中へと。

左が登ってきたトレース。右はOさんがスノーシューでぶっ飛ばして帰った跡。

何度も立ち止まって、心地よい林の静寂。

あ~最高の一日が終わっちゃう。
Sさん、Oさん、本当に有難うございました。
トレースも無い雪山で、私のような初心者が登頂できたのは、お二人のお陰です。
一人だったら、何処かで時間切れになって引き返していたと思います。
今日は素敵なご縁があって本当に良かった。
終わっちゃった。
駐車帯着(15:17)

またくるよ。
大雑把なルート図
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